阿部みどり女

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秋風に草枯れへりしところかな 阿部みどり女 秋風 秋, 三秋 天文 0v
秋風の樹を空にしてベンチあり 阿部みどり女 秋風 秋, 三秋 天文 0v
秋風やしばしば頬に釣しぶき 阿部みどり女 秋風 秋, 三秋 天文 0v
秋風や石積んだ馬動かざる 阿部みどり女 秋風 秋, 三秋 天文 0v
空風にかなしき胼のきれにけり 阿部みどり女 空風 冬, 三冬 天文 0v
窓しぐれ鏡の林しぐれけり 阿部みどり女 時雨 冬, 初冬 天文 0v
窓の花に折々蝶や更衣 阿部みどり女 更衣 夏, 初夏 生活 0v
竃の火うつる無月の潦 阿部みどり女 無月 秋, 仲秋 天文 0v
立てまはす古き屏風や隙間風 阿部みどり女 隙間風 冬, 三冬 天文 0v
立冬の川を彩る胡桃の黄 阿部みどり女 立冬 冬, 初冬 時候 0v
立春や雪に届きし遺稿集 阿部みどり女 立春 春, 初春 時候 0v
竹落葉草の空間谷をなし 阿部みどり女 竹落葉 夏, 初夏 植物 0v
笹鳴の小さなる音をきゝすまし 阿部みどり女 笹鳴 冬, 三冬 動物 0v
糸瓜忌や女三人碑のうしろまへ 阿部みどり女 子規忌 秋, 仲秋 人事 0v
紫苑ゆらす風青空になかりけり 阿部みどり女 紫苑 秋, 仲秋 植物 0v
綿蟲や夕べのごとき昼の空 阿部みどり女 綿虫 冬, 初冬 動物 0v
羅かけし屏風に透きて歌麿画 阿部みどり女 羅 夏, 晩夏 生活 0v
群鳴いて鴉過ぎゆく神無月 阿部みどり女 神無月 冬, 初冬 時候 0v
羽織りたる衿がたちをりやゝ寒し 阿部みどり女 寒し 冬, 三冬 時候 0v
羽織脱ぎ耳たぶ染めて十二月 阿部みどり女 十二月 冬, 仲冬 時候 0v
胡桃若葉積木の家の並び建つ 阿部みどり女 若葉 夏, 初夏 植物 0v
芒抱く子に満月を知らさるる 阿部みどり女 芒 秋, 三秋 植物 0v
花疲れ一つ床几に女同志 阿部みどり女 花疲れ 春, 晩春 生活 0v
芽吹く庭胸に打たれし五寸釘 阿部みどり女 芽立ち 春, 仲春 植物 0v
若葦や風におされて水の皺 阿部みどり女 蘆の若葉 春, 晩春 植物 0v
茄子の花朝の心新しく 阿部みどり女 茄子の花 夏, 三夏 植物 0v
茶の花や裏より這入る九品仏 阿部みどり女 茶の花 冬, 初冬 植物 0v
茶の蕾千成鬼燈に似たるかな 阿部みどり女 茶の花 冬, 初冬 植物 0v
草の雨一歩踏み出す足袋白し 阿部みどり女 緑雨 夏, 三夏 天文 0v
草を馬四角に積んで雲の峰 阿部みどり女 雲の峰 夏, 三夏 天文 0v
草原のごと海の展けし秋の夢 阿部みどり女 秋 秋, 三秋 時候 0v
草庵ににはかの客や貝雛 阿部みどり女 雛祭 春, 仲春 人事 0v
菊の蜂部屋をめぐりて菊日和 阿部みどり女 菊日和 秋, 仲秋 天文 0v
菖蒲湯にうめる水白く落ちにけり 阿部みどり女 菖蒲湯 夏, 仲夏 生活 0v
萩を刈ることがのこされ冬隣 阿部みどり女 冬隣 秋, 晩秋 時候 0v
萩咲くやまだ縫物に親しまず 阿部みどり女 萩 秋, 初秋 植物 0v
落柿舎は折しも柿の落葉どき 阿部みどり女 柿落葉 冬, 初冬 植物 0v
落葉松の霧下りて来る萩の花 阿部みどり女 萩 秋, 初秋 植物 0v
落鮎を争ふ鷺のありにけり 阿部みどり女 落鮎 秋, 三秋 動物 0v
葉つき蜜柑卒壽過ぎたる掌に 阿部みどり女 蜜柑 冬, 三冬 植物 0v
著莪咲けば姉の忌日の来りけり 阿部みどり女 著莪の花 夏, 仲夏 植物 0v
薄羽織ぬいでたゝみぬ椿餅 阿部みどり女 椿餅 春, 三春 生活 0v
蘆花の碑にたてば木の実のひゞき落つ 阿部みどり女 木の実 秋, 晩秋 植物 0v
蝶々にゆれかはりつゝ垣根かな 阿部みどり女 蝶々 春, 三春 動物 0v
行燈に頬片かげり近松忌 阿部みどり女 近松忌 冬, 仲冬 人事 0v
裁板に居らぬ妻は子を抱いて梅の日に 阿部みどり女 梅 春, 初春 植物 0v
裁板の切山椒の落葉籠 阿部みどり女 切山椒 新年 生活 0v
裏門に別れし秋の夕べかな 阿部みどり女 秋の夕 秋, 三秋 天文 0v
襤褸包なかなかへらず冬支度 阿部みどり女 冬支度 秋, 晩秋 生活 0v
観音様のお水屋に売る注連飾 阿部みどり女 注連飾 新年 生活 0v
訪ひて羽織をぬぎぬ柿の秋 阿部みどり女 柿 秋, 晩秋 植物 0v
訪ふ人を頼みの日々や雪ごもり 阿部みどり女 冬籠 冬, 三冬 生活 0v
詣りたる大観音の枯木かな 阿部みどり女 枯木 冬, 三冬 植物 0v
話声萩のうしろのあたりより 阿部みどり女 萩 秋, 初秋 植物 0v
誰彼の痩せてすこやか秋暑し 阿部みどり女 秋暑し 秋, 初秋 時候 0v
貧村の山河ゆたかに冬に入る 阿部みどり女 立冬 冬, 初冬 時候 0v
貼りかへし障子に雨の昨日今日 阿部みどり女 障子 冬, 三冬 生活 0v
赤々と朝日卒壽の神無月 阿部みどり女 神無月 冬, 初冬 時候 0v
足の痛み時には忘れ福壽草 阿部みどり女 福寿草 新年 植物 0v
踏切ベル霧の奥より虫の如 阿部みどり女 霧 秋, 三秋 天文 0v
退院の握手を医師と夏の雲 阿部みどり女 夏の雲 夏, 三夏 天文 0v
送別会せしもこの室供華の菊 阿部みどり女 菊 秋, 三秋 植物 0v
連翹の一枝はしる松の中 阿部みどり女 連翹 春, 仲春 植物 0v
道しるべ雪にかしいでしまひけり 阿部みどり女 雪 冬, 晩冬 天文 0v
遠山もさだかに春よ佛舎利塔 阿部みどり女 春 春, 三春 時候 0v
遠方の若葉静かや磧行く 阿部みどり女 若葉 夏, 初夏 植物 0v
酔ふ人を花の俥へ総がかり 阿部みどり女 花 春, 晩春 植物 0v
重陽の夕焼けに逢ふ幾たりか 阿部みどり女 重陽 秋, 晩秋 生活 0v
野の花は野の花の品冬隣 阿部みどり女 冬隣 秋, 晩秋 時候 0v
金柑の鉢そのままや雪の中 阿部みどり女 金柑 秋, 晩秋 植物 0v
金魚見るや雨やみがての傘廻しつ 阿部みどり女 金魚 夏, 三夏 動物 0v
釘文字の五月の日記書き終る 阿部みどり女 五月 夏, 初夏 時候 0v
針箱の片よせありて菊の留守 阿部みどり女 菊 秋, 三秋 植物 0v
釣をする燈台下の秋の潮 阿部みどり女 秋の潮 秋, 三秋 地理 0v
釣人に怒濤のしぶき冬の海 阿部みどり女 冬の海 冬, 三冬 地理 0v
鈴なりの銀杏ながめ雨やどり 阿部みどり女 銀杏 秋, 晩秋 植物 0v
鉦叩風に消されてあと打たず 阿部みどり女 鉦叩 秋, 初秋 動物 0v
鏡台をたまたま縁に春の塵 阿部みどり女 春塵 春, 三春 天文 0v
鑿の音師走をきざむ如くなり 阿部みどり女 師走 冬, 仲冬 時候 0v
長短の花揺れやまず土用寒 阿部みどり女 寒土用 冬, 晩冬 時候 0v
門出でて鼻つく闇の蛙かな 阿部みどり女 蛙 春, 三春 動物 0v
門前にこの松ありて初鴉 阿部みどり女 初鴉 新年 動物 0v
門前や走り止らぬ十三夜 阿部みどり女 後の月 秋, 晩秋 天文 0v
閨に遠くつるしかへけり轡虫 阿部みどり女 轡虫 秋, 初秋 動物 0v
降りつゞき浅間も見ずに秋の旅 阿部みどり女 秋 秋, 三秋 時候 0v
障子撫でる風の時折二日かな 阿部みどり女 二日 新年 時候 0v
障子開け墓苑の空気満たしけり 阿部みどり女 障子 冬, 三冬 生活 0v
雑用の中に梅酒を作りけり 阿部みどり女 梅酒 夏, 晩夏 生活 0v
雛しまふことおつくうに過しけり 阿部みどり女 雛祭 春, 仲春 人事 0v
雛しまへばぽつぽつ雨や桜餅 阿部みどり女 桜餅 春, 晩春 生活 0v
雨しみて幹の黒さや冬ごもり 阿部みどり女 冬籠 冬, 三冬 生活 0v
雨涼し白衣ながらも肩の幅 阿部みどり女 涼し 夏, 三夏 時候 0v
雨音に馴れしこのごろ九月かな 阿部みどり女 九月 秋, 仲秋 時候 0v
雪掻いて普請はじまる弥生かな 阿部みどり女 雪掻 冬, 晩冬 生活 0v
雪虫の掌をはなれとぶ命かな 阿部みどり女 雪虫 春, 初春 動物 0v
雪降らす雲かや窓に動きそむ 阿部みどり女 雪 冬, 晩冬 天文 0v
雲の中の明るさうれし月を待つ 阿部みどり女 月 秋, 三秋 天文 0v
霊園に詣る夢見て秋の昼 阿部みどり女 秋の昼 秋, 三秋 時候 0v
霜強き日のあたゝかさばらにあり 阿部みどり女 霜 冬, 三冬 天文 0v
霜枯の中に紫紺の龍の玉 阿部みどり女 霜枯 冬, 三冬 植物 0v